以前、紹介した支持線と抵抗線では価格が反発するラインについて紹介しました。
ダウ理論では、「一度発生したトレンドは明確な反転シグナルがあるまで継続する」としていますが、
トレンドが発生しているか否かを確認したり、トレンドが転換したシグナルを確認するためにトレーダーはトレンドラインを利用します。
トレンドラインは極めて単純なチャート分析ですが、最も利用価値の高いチャート分析としても知られています。
今回は、トレンドラインの引き方からブレイクやトレンドの転換について紹介します。
トレンドラインとは?
ポイント
上昇トレンドライン=連続して切りあがった安値同士を結んだ右肩上がりの直線
下降トレンドライン=連続して切り下がった高値同士を結んだ右肩下がりの直線
トレンドラインは多くのトレーダーが節目として意識していて、価格がトレンドラインに近づいた時に取引量は急増します。
『支持線と抵抗線(サポートラインとレジスタンスライン)とは?』でもお伝えした通り、価格は反発して押し目や戻りを作りながらトレンドを形成していきます。
まずは一般的なトレンドラインを紹介します。
上昇トレンドラインでは切りあがった安値に沿ってトレンドラインを引きます。
トレンドラインの有効性を確認するためには3回目の試しが必要です。
上記の上昇トレンドラインの例では、点1と点3をつないだだけでは、トレンドラインは暫定的なもので有効性を判断する事はできません。
点5のポイントでの反発を確認して、トレンドラインの有効性を確認できます。
下降トレンドラインでは、切り下がった高値の上に沿ってトレンドラインを引きます。
こちらも同様に、有効性を確認するためには、点5の反発を確認してはじめてトレンドラインの有効性が確認できます。
トレンドラインの引き方
トレンドラインを正しく引くためには、異なるラインを引いて検証しなければなりません。
正しいと思えるトレンドラインであってもその後の値動きによっては引き直さなければならない場合が多々あります。
以下はドル円の日足チャートですが、実際にトレンドラインを引いてみましょう。
(※下記は上昇トレンドにてトレンドラインを引いています)
まず、上昇トレンドラインを引くためには、少なくとも2つの切りあがった安値が必要です。
2つ目の安値は1つ目の安値よりも上方に位置していないといけませんが、チャートを見れば感覚的にわかるかと思います。
2つの切りあがった安値にて暫定トレンドライン①がひけました。
黄色い丸にて価格が反発して上昇した事を確認して上昇トレンドの有効性を確認できます。
トレンドライン①はその後割り込んでしまっているので、新たに上昇トレンドラインを引き直す必要があります。
その後、もう一つの切りあがった安値が出現したため、2点をつなぎトレンドライン②を引きます。
トレンドライン②を引いた後、3点目にてトレンドライン上にて反発、価格の上昇を確認できたので、トレンドライン②の有効性を確認できました。
トレンド③も同様です。

またトレンドラインは、
突破されずに経過した時間
トレンドラインが試された回数
によって重要性が増します。
例えば、トレンドラインが5回試されて1度も割る事なくその有効性を示したのであれば、わずか3回しか試されていないトレンドラインよりも重要性が高いです。
そして3ヶ月間、有効性を保ったトレンドラインは3週間や3日間だけ友好だったトレンドラインよりも重要性が高いです。
トレンドラインの重要性が高ければ高いほど、その信頼性も高まります。
つまり、日足や週足などの大きな足でのトレンドラインは信頼性が高く多くのトレーダーが意識しているポイントだと言えます。
トレンドラインの機能と使い方
ダウ理論でも解説した通り、「一度、発生したトレンドは明確な反転シグナルがあるまで継続する」という特徴があります。
例えば、上昇トレンドの場合は調整的な押しが起きますが、その押しで価格がトレンドラインに接触するあたりで
上昇トレンドの押しで買おうと狙っているトレーダーがたくさんいます。
つまり、上昇トレンドラインは押し目買いを仕掛ける支持線として利用できます。
その他のトレンドラインの使い方に関しては以下で解説します。
値幅を使ったトレード
また、トレンドラインの有効性を確認する事で、そこからある一定の傾斜が仮定できれば、同じ傾斜を維持すると考えられます。
さきほど有効性を確認したトレンドライン③では、
水色の値幅が180pipsありました。その後、トレンドライン上の2つ目の黄色い丸にて再び反発して上昇しています。
トレーダーは水色の値幅分が180pipsあった事から、2つ目の黄色い丸から再び約180pipsの値動きがあると予想ができます。
上記のドル円の例では実際180pips以上の値上がりを見せていますし、実際は同じ値幅通りに必ず動くわけではありません。
しかし、多くのトレーダーが意識している値幅のため、うまく機能する場合はポジション手仕舞いのアテをつける事ができます。
手仕舞いのポイント
上昇トレンドラインでは、トレンドラインを割り込んだところを手仕舞いのポイントとするトレーダーも多くいます。
特に大きなトレンドが出ている時は、
「まだまだ伸びんじゃないか」
「まだまだ落ちるんじゃないか」
と、一貫性の原理に乗ってしまい、再び価格が戻ってくることを信じてせっかく出た含み益を減らしていってしまう事があります。
トレンドラインは「手仕舞いのポイント」としても利用できるためご紹介します。
点1、3、5、7は上昇トレンドラインが支持線として機能して綺麗な上昇トレンドを形成している事がわかります。
点9では売り勢力に負けてしまい、支持線の上昇トレンドラインを割り込んでしまいました。
買いポジションを持っているトレーダーはローソク足がトレンドラインを割り込んでしまった事を確認して、この上昇トレンドラインはいったん終了で下落すると考えます。
一般的にトレンドラインを割り込んだかどうかは、ローソク足の確定にて判断します。
日足にてトレードしているトレーダーは日足の終値がトレンドラインを割り込んだことで、ブレイクしたと判断します。
利益確定のポイントが見つけられずにポジションを持ち続けてしまわぬようにトレンドラインを利用したいですね。
トレンド転換でのエントリー
上昇トレンドで機能していた支持線(上昇トレンドライン)はトレンドが転換すると、抵抗線に役割を転換します。
その際にトレンド転換のエントリーポイントとしてそれまで利用していた上昇トレンドラインが利用できます。
支持線と抵抗線の役割転換に関しては、『支持線と抵抗線(サポートラインとレジスタンスライン)とは?』の記事をご覧ください。
つまり、トレンドラインがブレイクされた後でもチャートの右側に延長してトレンドラインを残しておくと良いです。
右肩あがりの上昇トレンドライン(支持線)が下にブレイクされた後に、その後抵抗線として機能しています。
トレンドラインをブレイクしただけだと、ダマシにあってしまう可能性があります。
要人発言や指標発表などにより、トレンドラインを割り込んで再び元のトレンドに回帰していく『ノイズ』があるからです。
上記の画像の例では、過去の上昇トレンドラインが、抵抗線として機能する事(ラインで値が反発して売りが入る)を確認して
直近安値の点9をブレイクした事で、トレンド転換を確認します。
上記はドル円の週足です。2012年から続いていた上昇トレンドは2015年9月にブレイクしました。
その後上値を試しましたが、それまでの上昇トレンドが機能して抵抗線となりビッチリ上値を抑えられて下降トレンドに転換する良い例となっています。
週足レベルのトレンド転換のため、その後16円ほど価格が下落しました。
まとめ
この記事ではトレンドラインの引き方とトレンド転換の見極め方について解説しました。
トレンドラインは多くのトレーダーが意識しているポイントのため、上位足でのトレンドラインをしっかり確認しなあら
エントリーポイントや決済ポイントを確認したいですね。
トレンドラインは何度も引く事で次第に慣れてくるかと思います。
是非、チャートを眺めてトレンドラインを引いてみてください。